ロジャーは生後10か月でHOJに来ました。
隣町マティのシスターが、赤ん坊を市場で100ペソで売っている女性がいると聞いて
慌てて駆けつけて保護されたのがロジャーでした。
両親ともに病弱で、特にお母さんは重病でした。
5歳、2歳、0歳の3兄弟は栄養失調状態で、すぐに福祉局に保護され、
栄養失調の子を一時的に引き取って食事を与える施設に入れられました。
ですが施設を出ても、実家に戻ってしまったら
またすぐに栄養失調になってしまうことは明らかです。
そこで、3人はHOJに入ってくることになりました。
ロジャーはHOJに来て数か月後にひどい熱を出して寝込みました。
病院に担ぎ込まれたロジャーはアメーバ赤痢と診断されました。
適切な治療を受けたおかげですぐに元気になりましたが、
もしHOJに入る前に発病していたら、確実に命を落としていたでしょう…。
さて、そんなロジャーは、HOJで一番のちびっ子ということでみんなに愛でられて
すくすくと成長していきます。
小さな頃からひょうきんな子で、歩く前に踊り始めたという伝説の持ち主です。
2歳くらいになると早くもカメラにポーズ!すっかりロジャーの顔になってますね。
なかなか背の伸びないロジャーでしたが、運動神経は抜群に良く、
小さい頃からHOJに来るビジターとよく一緒にサッカーをしていたことも功を奏して、
小学校高学年からは学校のサッカーチームの代表に選ばれるようになりました。
小学生の大会なのに、1人だけ幼稚園児並の体格で、
にもかかわらずものすごく素早くてボールさばきのうまいロジャーは大会でも大人気で、
相手チームには「あの小さい奴をとめろ!小さい奴に3人マークつけ!」と恐れられていました。
高校に行ってもサッカーチームは続き、年齢制限で大会に出れなくなってからは、
女子サッカーチームのコーチとしても活躍していました。
そしてロジャーと言えば一番のひょうきん者。
HOJに来たばかりで表情の固い子を笑わせるのは、ロジャーの役目でした。
あの手この手で笑わせるんですが、必殺技はこの「変な顔」!
今までにいろんな「変な顔」を見てきましたが、ここまで芸術的なのは見たことがありません。(笑)
烏山さんが足の手術をして入院していた時も、
こどもたちを代表してお見舞い係になったのがロジャーでした。
両足を切断してふさぎこんでいた烏山さんを笑わせられたのは、やっぱりロジャーだったんです。
でもやっぱりロジャーと言えば、ダンスです!
物心がつく前からHOJで歓迎会や創立記念日、クリスマスパーティーなどで人前で踊り続けた結果、
ダンスをする機会の多いフィリピンという国の中でも特異なほどにダンスをして育ったロジャーは、
小学校高学年くらいになった頃には、プロ顔負けのダンサーになっていました。
学校行事などはもちろん、プロのロックバンドのPVにバックダンサーとして参加したりもしました。
そんなロジャーもついにHOJを卒業!
先日紹介したダンスプロジェクトも大成功に終わり、今年分のダバオでの家賃はバッチリです。
10月からはマンゴー加工工場で働きはじめ、まだ研修生なので給料は安めですが、
それでも地元の商店などで働くのとは雲泥の差の、きちんとした給料をもらっています。
この12月にはさっそく職場のクリスマスパーティーがあり、グループ対抗のダンス大会があるそうです。
いわば新生活の場でのロジャーのデビュー戦!うまくいくようにみなさんお祈りください!